日記

2022-09-24 18:05:00

エリート意識の刷り込み

22768860

私はヤマハピアノテクニカルアカデミーの8期出身です。

当時の講師より
『君達はヤマハの調律カリキュラムの教育を受けた、いうなれば調律師のエリートです。
他の調律学校出身とは全然意味が違います。その自覚を持って下さい。』
などの刷り込みがありました。

しかし、実際世の中に出てみて
そんなエリート意識は何の役にも立たない事を実感しました。

私が調律の仕事を始めた
昭和63年当時は、ヤマハ・KAWAI以外の国産メーカーが生産したピアノが市場に多くありました。

そのピアノを調律しようとしても、
思うようにコントロールができなかった記憶があります。

大きな理由の一つとして、
ヤマハピアノは精巧に設計・製造されていて、とても調律がしやすいのです。

当然ながら、ヤマハピアノテクニカルアカデミーでは、ヤマハピアノしか調律しません。
ヤマハピアノ以外に耐性がないということを、まずは実感しました。

それから、修理の経験が圧倒的に不足しているということです。もちろん、カリキュラムとしてはありましたが、やはり調律と比較すると圧倒的に時間が少なかったですね。

当時の同期入社で、京都の私立調律学校出身者の話しを聞いた記憶では、
状態の酷いピアノがとても多く、
分解して修理をする“オーバーホール”を
数多く経験した様子でした。
自分達が調律の授業で使用するピアノを
自ら大修理をして使用していたようです。

ヤマハ・KAWAIの調律学校と比較すると、一般の私立調律学校は財政的にも生徒用に良い状態のピアノを用意するのが大変だったのでは?と想像します。

ピアノを分解して、オーバーホールを数多く経験すると、修理に強くなり、
ピアノ構造全体と各機構との関係性を深く学ぶ事が出来ます。

まあ、顧客を訪問しての殆どは調律が中心なのでメーカーのカリキュラムとしては、理にかなっているとは思います。

本当は、“強みと弱み”の両方を自覚させる教育をするのが理想だと思います。

明日はお休みをいただきます。