ピアノ音の良し悪しを見極める、その感受性に対して絶対的な自信を持ち合わせています。その裏付けは楽器店在籍時の貴重な経験です。自社音楽ホールのフルコンサートグランドピアノをヤマハ本社工場で選定するスタッフの一員として参加した時のエピソードです。音大ピアノ科の准教授、元ヤマハピアノ技術課長の調律師、私、楽器店のオーナーで3台のフルコンから選定する作業です。選定のポイントは、簡潔にピアノのポテンシャルを見極めることです。上っ面で鳴るピアノは好ましくなくて、ボディー鳴りするピアノが理想です。選定の結果は、全員一致同じピアノで即決でした。調律師として、日々真摯にピアノと向かい合い続けて晴れ舞台で音大の准教授と同じ回答を出せた事を誇りに思います。調律のご依頼をいただいて、ピアノの状態を確認してみると、音程はそんなに乱れていないのに音が痩せているピアノを時々見かけます。それは、調律時の打鍵に起因すると思います。私は、ピアニストに手ほどきを受けてから、弦全体をしっかり振動させて、ボディー鳴りする音で打鍵しながら調律しています。そうすると、重厚な響きのピアノ音に仕上がりますよ。それが、私の“こだわり”ですね。